2025.11.05
ニュースリリース
大阪経済大学・海外実践プログラム「Talk with in デンマーク」実施レポート
<実施概要>
2025年9月1日から7日にかけて、タイガーモブ株式会社(以下、タイガーモブ)と大阪経済大学国際共創学部は、デンマークの首都コペンハーゲンを舞台とした海外研修を実施しました。本プログラムは、「創発と共創」をテーマに、Educational Visits Denmarkと協働して実施。大学2年生19名と教授1名が参加、対話を通じて「創発と共創」を体験しながら学ぶ(learning by doing)7日間の研修を行いました。
<大阪経済大学国際共創学部について>
大阪経済大学国際共創学部は、「グローバルな視点で社会や経済を見据え、多文化への理解にもとづき、人々と未来を共に創り出す」ことを学部の理念として掲げ、2024年4月に開設された新しい学部です。1年次に必修科目として海外短期留学があり、少人数制のゼミでは短期の「国内・海外実践プログラム」を実施。
交流しながら学ぶことを通じて、グローバルとローカルを融合した視点を実践的に養うことを目的にしており、活動先は、デンマーク、タイ、ベトナム、鳥取、高知など幅が広く、学生は卒業するまでにその中から2つ選択することが出来ます(本年度はデンマークのみ実施)。

<プログラムの目的とテーマ>
本研修は「創発と共創」をメインテーマに、
- サステナビリティ & ウェルビーング
- 多様な人々が尊重される場づくり・関係づくりのあり方
- アントレプレナーシップ(起業家精神)の3つの観点から探究を行いました。
参加者は現地訪問・対話・観察を通じて「創発と共創」が生まれる現場を体験し、最終日には「より創発的・共創的な大学にするためのアイデア」をグループで発表しました。
本研修の特徴は、対話を通じた「創発と共創」を体験しながら学ぶこと(learning by doing)。課題の設定からアイデア創出まで、グループ内での対話で進めた結果、「どうしたら学生間の交流を増やすことができるだろうか?」と、学生間の交流を課題に設定したグループが複数ありました。「デンマークでは、同じ学び場でも、掲示板に貼られていたのはイベントのお誘いなどが多く、余暇の大切さが感じられた。空きコマを有効に使い、ネットワーキングも大切にしていた。つながる大切を学んだ。」と学生。

研修では対話を通じて偏見や思い込みに気づき、相互理解を深めることを目的とした取り組み「Huaman Library」も体験。
偏見を受けやすい立場にある人が「本」として自分を貸し出し、対話を通じて自らの人生について語ります。デンマーク発祥の取り組みです。
持続可能な都市づくりを牽引する北欧の中心的存在BLOXHUB、また、グレーター・コペンハーゲンエリアでのビジネスチャンスの開拓や事業立ち上げの支援をする組織Copenhagen Capacityの訪問では、デンマークにおけるまちづくりやビジネスづくりに関する考え方、また、課題についても教わりました。その中でも、「SNSの発達で、都市部に住む人々の孤独化が進んでいる」ということを知り、その課題は人ごとではないように感じていた学生たち。

BLOXHUBで、Global Networks & PartnershipsのDirectorを務めるJakob Norman-Hansen氏。
「自分たちが定義した課題に取り組めば、孤独を感じている学生、大学が楽しくない学生がハッピーになる」「一人暮らし勢にとってもいい」として、コミュニティづくりの仕掛けを考案。学内で共通の関心事を持つ人同士が対面でつながり、会話が生まれやすいような「マッチングアプリ」のアイデアが創発しました。「交流しながらポイントも貯まるような設計にして、ポイントを活かせる場所としてのイベントもしたい。」「確かにSNSに使ってる時間は多い。でも、それを逆手にとって、学生主体のイベントを学生主体でインスタとかで発信すれば、学生は見てくれるのではないか」という意見も。


他にも、滞在中にデンマークとスコットランドのサッカー試合が行われており、街全体の盛り上がりの様子から着想を得て「ライブビューイング」のようなイベントを行うこと。また、訪問先のAalborg大学コペンハーゲン校と成人教育機関・フォルケホイスコーレでは学生主体で運営される「バー」や「カフェ」があることを知り、「自分たちもやってみたら良いのではないか」と提案していたグループが複数あった。「その名も、Community bar in OUE。毎週金曜日17時に、教員と学生が一緒に飲めて、交流できる場。卒業生にも呼びかけて、飲食業に携わっている企業人からも協力が得られたら嬉しい。」

街の様子。スコットランドの民族衣装を纏う人々が街中に沢山いました。

1884年に創設されたフォルケホイスコーレ。「当時は、この種くらいに小さかった」。
「だけど、(創設者のひとりである)グルントヴィが大事にしていることは、時が経ってもこうして受け継がれ、この木の今日に至るまで根付いているのです」と副校長。
今回はデンマークだけでなく、首都コペンハーゲンから電車で約1時間半ほど離れた所にあるスウェーデンのマルメ市も訪問。担当教授の竹下智先生のおつながりでスタートアップ支援を行うハブ「Minc」を訪問し、マルメ市のスタートアップの文化や日本との繋がり、また、マルメ大学での起業家育成についても教えて頂きました。
“Students need encouragement”「学生には励ましが必要なんだ」とマルメ大学で学生の企業支援のハブを運営するプロジェクトリーダーのPablo Vilches氏。

この言葉は彼だけでなく、今回の滞在で他の人々も口にしていました。北欧は起業のしやすさで有名ですが、そこには具体的に応援するという「姿勢」と「仕組み」があることが分かりました。例えば、マルメ大学では、学生が起業することに専念できるように、奨学金制度を設けたり、外部団体とパートナーシップを組み、学内に起業支援の窓口として駐在することで、学生はいつでも相談することができます。起業の敷居を低くし、志のある若き起業家を育てることに価値を置くあり方に、北欧らしさを感じました。
たくさんの人々に出会い、様々な角度から北欧らしさを感じることができたデンマーク研修。最後に、参加したメンバーから一言ずつ、感想を共有します。

<参加者の声>
「私がデンマーク研修に参加した理由は、人生であまり行く機会のないヨーロッパの国に行くことで、日本では感じられない文化や体験ができるかなと思ったからだ。私はこの研修に行って本当に良かったと思った。実際、ただ街を歩いているだけでも、日本にはないとてもきれいな景色があったり、デンマークならではの「みんな平等」という考えを学べたりした。日本とは全く違ったことだらけで、とても有意義な時間を過ごせた。そして、これからの生活では、「当たり前の日常を、視野を広げて見てみること」が、大切だと思った。常に探求心を持ちながら、生活していきたい。」
「デンマーク研修に参加したのは、今後デンマークに行く機会が少なく、大学の研修だからこそできる特別な体験があると思ったからです。現地ではフォルケホイスコーレでの学びや生活を通して、多様な価値観や他者との対話の大切さを実感しました。また、日本では体験できないヒューマンライブラリーや起業家の方々の話を聞けて刺激を受けました。これからはデンマーク研修の経験を通して人との関わり方・学んだ多様な価値観・主体的に行動する姿勢を、自分の進路選択や日常生活の中で活かしたいと思いました。」
「私がデンマーク研修に参加した理由は海外の文化経営の仕方に興味があったからです。帰国した今この研修に行ってよかったと思うことは、文化の違いからくる人との関わりが日本と違って、日本にも取り入れて欲しい仕組みがあったからです。例えば学校では生徒主体になって意見しあって行動に移すことだったり、仕事では上司との上限関係があまり厳しくなく、意見の言い合いがしやすい環境になっていることが良い文化だと感じました。こういった研修で学んだことを活かした仕事や学校での雰囲気づくりをしていきたいです。」
文章:芦田加奈(Tiger Mov Inc. アクセラレーター)
写真協力:須崎莞太(参加学生)
*Educational Visits Denmark:本研修における現地コーディネーターとして、研修のデザインと運営に関与。Educational Visits Denmarkは、デンマークの教育制度やその理念、現場のアプローチなどと共に、それらの基礎となっている社会的価値観や制度、文化やライススタイルなどを国外の人々に伝えるスタディープログラムやレクチャーなども行ったり、その他ビジネス案件、視察、国際プロジェクト、現地調査など、北欧と海外の間の様々なリクエストに応じる現地企業です。タイガーモブとは、2023年から協働開始。今回が5回目の共同運営となりました。

ヒューマンライブラリー(人を本として貸し出す「生きてる図書館」)にて
<お問い合わせ>
タイガーモブ株式会社
HP:https://tigermovschool.com/
Email: info@tigemov.com (プログラム関連) / pr@tigermov.com(PR関連)