【2024年最新版】探究学習に最適な社会問題50選 – 生徒が本気で取り組める面白いテーマと失敗しない進め方

弊社が探究学習の支援をするなかで、最も多い相談が「テーマ設定」に関するものです。

特に社会問題をテーマにする際、「生徒が興味を持てない」「調べ学習で終わってしまう」という課題をよく耳にします。

本記事では、実際に成果を上げた事例をもとに、探究学習に適した社会問題のテーマを紹介していきます。

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目次

なぜ「面白い」社会問題を探究テーマにすべきか

「社会問題」というと堅苦しく感じられますが、実は生徒の身近にあふれています。

例えば、「なぜこの時間帯のバスは満員なのか」という素朴な疑問から、地域の交通問題について探究を始めた生徒がいます。

また、「好きなアイドルのライブグッズが転売されている」という経験から、ネット取引の社会問題について研究を始めた例もあります。

このように、生徒にとって「面白い」と感じられる切り口から社会問題にアプローチすることで、主体的な探究活動が生まれやすくなります。

なぜ生徒は社会問題に興味を持てないのか?

生徒にとって、「社会問題」という言葉には堅苦しいイメージがつきまとっています。

教科書や新聞で取り上げられる大きな問題は、自分の生活との接点が見えづらく、「自分には関係ない」と感じてしまうのが現状です。

また、問題があまりにも大きすぎて、自分に何ができるのか想像できないことも、興味が持てない大きな要因となっています。

よくある失敗パターン

教員がよく陥りがちな失敗として、以下のようなものがあります。

まず、生徒の関心事を考慮せずに、大人が重要だと考える社会問題を一方的に提示してしまうこと。次に、解決策を急ぎすぎて、生徒が問題の本質を理解する時間を十分に確保できていないこと。

そして、課題を提示するだけで終わり、生徒が自分なりの解決策を考える機会を設けていないことです。

生徒の視点から考える「面白い」とは

生徲にとって「面白い」社会問題とは、自分の日常生活と結びついていて、かつ自分にも何かできそうだと感じられるものです。

例えば、学校の昼食時間の食品ロスや、通学路の安全問題など、身近な社会問題から入ることで、より大きな社会問題への理解も深まっていきます。

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社会問題を探究テーマにする際の3つの重要ポイント

実践的な探究活動を実現するために、以下の3点を意識することが重要です:

・生徒の日常との接点があること 

単なる社会問題の研究ではなく、生徒自身の経験や関心と結びついているテーマであることが重要です。

・具体的なアクションが起こせること

情報収集だけで終わらず、実際に何らかの行動が起こせるテーマを選びます。

・継続的な活動が可能なこと

一時的なイベントではなく、持続的に取り組める社会問題であることが望ましいです。

分野別・探究向き社会問題50選

探究学習のテーマとして社会問題を扱う際、単に問題を列挙するだけでは生徒の興味を引くことは難しいでしょう。

ここでは、実際に高校生が取り組んで成果を上げた社会問題を、5つの分野に分けて紹介します。

それぞれのテーマには、具体的なアプローチ方法や期待される成果についても触れていきます。

身近な地域の社会問題(10選)

・空き家問題 

古民家をリノベーションして交流スペースを作った高校生チームがいます。地域の不動産会社と連携し、実際に改装作業から運営まで手がけました。

空き家問題は探究学習の題材として面白いテーマです。生徒たちにとって身近な社会課題であり、通学路や自宅周辺で実態を直接観察できる「自分ごと化」のしやすさが最大の利点です。

また、人口減少・高齢化、相続問題、地域コミュニティの希薄化など、様々な社会的要因が複雑に絡み合った総合的な課題であるため、多角的な探究が可能です。実態調査からソリューション提案、さらには実践まで、段階的に取り組みを深めていけることも特徴です。

指導する際は、自治体の担当者、不動産業者、建築家、地域住民など、多様なステークホルダーとの対話の機会を設けることが重要です。これにより生徒たちは問題の複雑さや解決の難しさを実感すると同時に、社会における合意形成のプロセスを学ぶことができます。

・商店街の活性化 

地元商店街で期間限定の高校生カフェを開業。SNSでの情報発信から、メニュー開発、実店舗運営まで一貫して取り組んだ事例があります。

商店街の活性化は、探究学習のテーマとして地域経済と文化の両面からアプローチできます。特に生徒たちが日常的に利用する可能性のある商店街を対象とすることで、自分事として捉えやすく、また成果も実感しやすい特徴があります。

商店街には歴史ある個店が多く、それぞれの店主には創業からの経緯や、地域の変遷についての豊富な知見があります。インタビュー調査を通じて、地域の歴史や文化、経済の変化を学ぶことができます。また、大型店やEコマースとの競争など、現代的な課題も理解できます。

指導の際は、単なる集客イベントの企画に終わらせないことが重要です。商店街が抱える構造的な課題(後継者不足、施設の老朽化、商圏人口の変化など)への理解を深め、持続可能な解決策を考えられるよう導くことが必要です。SNSやウェブサイトの活用、地域資源との連携など、デジタルとリアルを組み合わせた新しい取り組みも検討できます。

・高齢者の買い物支援 

移動販売車の運行ルート設計から、商品選定まで高校生が参画。地域の高齢者へのヒアリングを重ね、実用的なサービスを作り上げました。

高齢者の買い物支援は、高齢化社会における喫緊の課題として、探究学習で扱う意義が大きいテーマです。単なる買い物の不便さという表面的な問題だけでなく、社会的孤立や健康管理など、より深い社会課題とも結びついています。

生徒たちは実際に高齢者へのヒアリングを通じて、具体的なニーズを把握することから始めることができます。また、既存の支援サービスの調査や、地域の小売店・介護施設などへのインタビューを通じて、問題の全体像を理解することができます。

指導では、買い物支援という具体的なサービスの設計に加えて、高齢者の生活の質の向上という広い視点を持たせることが重要です。移動手段の確保、商品の配送方法、注文の受付方式など、実現可能性を踏まえた具体的な提案ができるよう支援します。

このテーマでは、ビジネスモデルの検討や、ITツールの活用など、様々な角度からのアプローチが可能です。

・通学路の安全対策 

通学路の安全対策は、生徒自身の日常生活に直結する身近なテーマであり、具体的な改善提案と実践が可能な探究テーマです。特に危険箇所の特定から行政への提言まで、一連のプロセスを体験できる点が特徴的です。

指導では、交通量調査やヒヤリハット地図の作成など、定量的なデータ収集を重視します。また、地域住民や小学生の保護者、警察署など多様な関係者からの意見聴取を通じて、様々な立場からの安全性の捉え方を学ぶことができます。

実践においては、GISを活用した地図作成や、ドローンによる空撮など、先端技術を活用した調査も可能です。また、行政への提言にあたっては、予算や法規制などの現実的な制約も考慮に入れた提案が求められ、社会システムへの理解も深めるとより面白いテーマになるでしょう。

危険箇所のマッピングから始め、行政への提言まで実施。実際に信号機の設置につながった例もあります。

・祭りの担い手不足 

伝統行事の継承は、地域の文化的アイデンティティに関わる重要な探究テーマです。特に、伝統と革新のバランスを考えながら、持続可能な形での継承を検討できる点が特徴です。

生徒たちは、祭りの歴史調査や関係者へのインタビューを通じて、伝統行事の意義や価値を理解します。同時に、現代社会における課題(若者の参加意欲低下、準備の負担など)も明らかにしていきます。

指導では、単なる伝統の保存ではなく、現代的な解釈や新しい表現方法の検討を促します。SNSでの情報発信や、観光資源としての活用など、多角的なアプローチが可能です。実践を通じて、文化継承における革新の重要性を学ぶことができます。

地域の伝統行事を調査し、若者向けにアレンジした新しい祭りを企画。SNSでの発信により、若い参加者の増加に成功しました。

・ゴミ分別の社会問題 

ゴミ分別は環境問題への入り口として最適な探究テーマです。身近な課題でありながら、資源循環や環境負荷など、グローバルな視点での考察も可能です。

調査では、分別ルールの地域差や、誤分別の実態調査など、具体的なデータ収集から始めることができます。また、清掃工場やリサイクル施設への訪問を通じて、廃棄物処理の全体像を理解することも重要です。

指導においては、行動科学的なアプローチも取り入れ、人々の意識や行動の変容を促す方策を考えることができます。アプリ開発やゲーミフィケーションの導入など、技術を活用した解決策の検討も可能です。

アプリを開発し、正しい分別方法を簡単に検索できるシステムを構築。市役所と連携し、実用化された事例があります。

・野良猫問題 

野良猫問題は、生命倫理や地域コミュニティの在り方を考える良い機会となる探究テーマです。感情的な議論に陥りやすい課題であるからこそ、科学的なアプローチと多様な価値観の理解が重要です。

調査では、地域での実態把握や、先進的な取り組みを行う自治体の事例研究が基本となります。また、動物愛護団体や地域住民など、様々な立場の人々からの意見聴取も重要です。

指導では、TNR活動の意義や限界、条例による規制の可能性など、複数の解決策を比較検討することが重要です。また、活動を通じて、合意形成の難しさや社会的責任について学ぶ機会となります。

地域住民と協力して実態調査を行い、TNR活動(捕獲→不妊手術→元の場所に戻す)の支援システムを構築しました。

・公園の利用率低下 

公園の利用率低下は、都市計画と住民のライフスタイルの変化を考察できる探究テーマです。特に、公共空間の在り方を多面的に検討できる点が特徴です。

調査では、利用状況の定点観測や住民アンケートなど、具体的なデータ収集が可能です。また、他地域の成功事例や海外の公園活用事例なども参考にすると、より面白いテーマになるでしょう。

指導では、単なる施設の改善提案に留まらず、コミュニティスペースとしての新しい活用方法や、管理・運営方法の検討まで視野に入れることが重要です。市民参加型の公園づくりなど、実践的なプロジェクトにも発展できます。

利用者へのアンケートをもとに、新しい公園の使い方を提案。実際にイベントを開催して効果を検証した例があります。

・待機児童問題 

待機児童問題は、教育・福祉・労働など、複数の社会的課題が絡み合うテーマです。特に、データ分析と実地調査の両面からアプローチできる点が特徴的です。

調査では、地域の保育ニーズや既存施設の状況把握、行政の施策研究などが基本となります。また、保育士や働く親へのインタビューを通じて、現場の実態も理解できます。

指導では、短期的な解決策と長期的な対策の両面を考えることが重要です。また、高校生ならではの視点で、空き教室の活用や世代間交流など、創造的な提案を促しましょう。

空き教室を活用した一時預かり施設の提案。高校生がボランティアスタッフとして参加する仕組みを考案しました。

・観光資源の活用不足 

観光資源の活用は、地域の魅力再発見と経済活性化を結びつける探究テーマです。

調査では、地域資源の棚卸しから始め、観光客の行動分析、他地域との比較研究などを行います。また、観光業者や外国人観光客へのヒアリングもできると、より面白い探究活動になるでしょう。

指導では、単なる観光スポットの発掘に留まらず、体験型観光やストーリー性のある観光ルートの開発など、より深い観光価値の創造を目指します。多言語対応やデジタル技術の活用なども、重要な検討要素となります。

地域の隠れた観光スポットを発掘し、観光マップを作成。外国人観光客向けの多言語対応も実現しました。

デジタル社会における社会問題(10選)

現代の高校生にとって、デジタル技術は日常生活の一部です。だからこそ、デジタル社会特有の社会問題は探究テーマとして取り組みやすく、具体的な解決策を考案しやすい特徴があります。

・SNS依存問題 

SNS依存は、生徒たちが当事者として実感を持って取り組める探究テーマです。特に、自身の経験や周囲の状況を客観的に分析できる点が、探究学習として有効です。

指導では、依存の定義や測定方法など、科学的なアプローチを重視しましょう。

使用時間の記録や生活への影響調査など、定量的なデータ収集から始め、心理学的な知見も踏まえた分析へと発展させることができます。また、海外の先進的な取り組み事例との比較研究も有効です。

ある高校では、生徒たちが「スマホ・デトックス・プロジェクト」を立ち上げました。使用時間の可視化アプリを開発し、依存度チェックから対策まで、同世代向けの総合的なプログラムを作り上げています。

・オンライン詐欺 

オンライン詐欺は、情報モラルと情報リテラシーの両面から探究できるテーマです。特に高齢者を対象とした詐欺被害が社会問題化しており、世代間格差の解消という観点からもアプローチできます。

指導では、実際の詐欺事例の分析から始め、手口の傾向や被害者の心理などを多角的に検討するのも良いでしょう。また、警察や消費者センターなど、専門機関との連携ができると、重要な学習機会となります。

実践においては、高齢者向けの防犯教室の開催など、地域に貢献する活動へと展開できます。生徒たちのICTスキルを活かした分かりやすい教材作成なども、効果的な取り組みとなります。

高齢者向けのデジタル教室を開催した例もあります。実際に起きた詐欺事例をもとに、分かりやすい予防マニュアルを作成し、地域の公民館で定期的な講座を実施しています。

・デジタルデバイド(情報格差)

 デジタルデバイドは、技術の進歩と社会的包摂の関係を考察できる重要なテーマです。特に行政のデジタル化が進む中、誰一人取り残さない社会の実現という観点から探究を深めることができます。

指導では、年齢や地域による情報格差の実態調査から始め、その社会的影響を分析する方法が考えられます。また、海外における対策事例の研究なども、解決策を考える上で参考になるでしょう。

実践するうえでは、スマートフォン教室の運営など、直接的な支援活動が可能です。特に高齢者との交流を通じて、技術と人間の関係性についての深い洞察を得ることができます。

地域の高齢者向けスマートフォン教室の運営をしたり、特に行政手続きのオンライン化に伴う社会問題に焦点を当て、実践的なサポートを行うと面白い授業になるでしょう。

・ネットいじめ 

ネットいじめは、現代の生徒たちが直面する可能性の高い問題であり、探究テーマとして高い意義を持ちます。匿名性や情報の拡散速度など、従来のいじめとは異なる特徴を持つため、新しい対策アプローチが必要です。

指導では、実態調査の手法に特に注意を払う必要があります。プライバシーや個人情報の保護に配慮しながら、アンケートやインタビューを設計します。また、心理学的な知見を活用し、加害者・被害者双方の心理分析も重要な要素となります。

実践面では、LINE等のSNSを活用した相談システムの構築など、テクノロジーを活用した解決策を考案できます。特に同世代による支援活動は、独自の視点での解決策を生み出す可能性があります。

例えば、匿名性を活かした相談システムを構築したり、LINE公式アカウントを活用し、同世代のピアサポーターとして活動してみると良いでしょう。

・個人情報の流出 

個人情報保護は、デジタル社会を生きる上で必須のリテラシーです。探究テーマとして、技術的側面と人的側面の両面からアプローチできる点が特徴です。

指導では、個人情報保護法やプライバシーの権利など、法的な側面の理解も促しましょう。また、情報セキュリティの基礎知識や、実際の流出事例の分析なども重要な学習要素となります。

実践では、啓発活動を中心に、同世代に向けた効果的な情報発信を行うことができます。特にSNSを活用した発信は、生徒たちの得意分野を活かせる取り組みとなります。

プライバシー保護に関する啓発動画を制作。TikTokなどのSNSを活用して同世代に向けた情報発信を行っています。

・オンラインゲーム依存 

ゲーム依存は、WHO(世界保健機関)でも認定された現代的な健康問題です。探究テーマとして、医学的・心理学的な観点と、社会的な観点を組み合わせた学際的なアプローチが可能です。

依存のメカニズムや健康への影響など、科学的な知見をベースにした理解を促しましょう。また、ゲームの持つポジティブな側面にも目を向け、バランスの取れた考察を心がけます。

実践においては、依存度チェックツールの開発や、適切な利用ガイドラインの作成など、具体的な対策提案が可能です。特に当事者としての視点を活かした解決策は、実効性が高いと考えられます。

・デジタル学習格差 

コロナ禍で顕在化したデジタル学習格差は、教育の公平性という観点から重要な探究テーマです。特に、オンライン学習環境の整備状況や学習支援の在り方について、具体的な提案が可能です。

指導では、家庭環境による学習機会の差異や、デジタルツールの活用能力の違いなど、多角的な実態把握を行います。また、諸外国の対応事例なども参考になります。

実践面では、学習支援プラットフォームの構築や、機器の使用方法講座の開催など、直接的な支援活動が可能です。生徒同士の学び合いの仕組みづくりも、有効なアプローチとなります。

・フェイクニュース問題 

フェイクニュースは、メディアリテラシーを実践的に学べる探究テーマです。

情報の真偽を判断する能力は、現代社会を生きる上で必須のスキルであり、生徒たち自身の成長にも直結します。

指導では、情報源の確認方法や、事実検証の手順など、具体的な調査手法の習得を重視します。また、なぜフェイクニュースが拡散されるのか、その心理的・社会的メカニズムの理解をするとより面白いテーマになります。

ファクトチェックの手法を学び、実際の事例を検証する活動は、批判的思考力を養う良い機会となるでしょう。

実践では、情報検証の結果を分かりやすく発信する活動や、簡単に使えるチェックリストの作成など、具体的な成果物を作ることができます。

・電子決済の普及と社会問題 

キャッシュレス化の進展は、利便性向上と新たな課題の両面から探究できるテーマです。特に高齢者や地域商店への影響など、社会的な視点での考察が可能です。

電子決済の仕組みや特徴を理解した上で、導入に伴う課題を多角的に分析しましょう。セキュリティリスクや個人情報保護の観点も重要です。また、海外のキャッシュレス先進国の事例研究も有効です。

実践面では、地域商店街と連携した導入支援や、高齢者向けの使い方講座など、具体的な支援活動を展開できる面白いテーマです。

・デジタル著作権 

デジタル著作権は、創作活動とその保護について考える良い機会となる探究テーマです。特にSNSでの情報発信や二次創作が一般化する中、適切な利用ルールの理解は重要性を増しています。

著作権法の基礎知識から始め、デジタル時代特有の課題について理解を深めましょう。クリエイターへのインタビューなどを通じて、権利保護の重要性を実感的に学ぶことも効果的です。

実践においては、わかりやすい著作権ガイドラインの作成や、適切な引用方法の啓発活動など、同世代に向けた発信活動が可能です。また、クリエイティブ・コモンズなど、新しい著作権の考え方についても学べると、さらに面白いテーマになります。

これらのデジタル社会における課題は、生徒たちにとって身近でありながら、社会全体に影響を及ぼす重要なテーマです。

探究活動を通じて、問題の本質を理解し、具体的な解決策を考案する経験は、デジタル社会を生きる上で必要な批判的思考力と創造力を養うことにつながります。また、多くのテーマで実践的な活動が可能であり、社会に対して具体的な貢献ができる点も、生徒たちの学習意欲を高める要因となります。

これらのテーマに共通するのは、生徒たちが当事者として問題を捉えやすく、かつ具体的な解決策を提案しやすい点です。

若者特有の社会問題(10選)

高校生だからこそ気づける社会問題があります。実際に多くの学校で、生徒たちの実体験から始まった探究活動が、社会に大きなインパクトを与えています。

・制服の在り方 

制服問題は、ジェンダー、環境、経済性など、複数の視点から探究できる現代的なテーマです。特に生徒自身が当事者として問題を捉えられる点が、探究学習として大きな利点となります。

指導のポイントは、単なるデザイン提案に終わらせないことです。制服の歴史的背景や各国の事例研究、環境負荷の調査など、多角的な観点からの研究を促します。また、アンケートやヒアリングを通じて、多様な意見を収集・分析する過程も重要な学びとなる面白いテーマです。

具体的な活動としては、サステナブルな素材研究や再利用システムの構築、新しい制服の提案など、実現可能性を踏まえた提案が可能です。生徒会との連携により、実際の制度改革につなげることも視野に入れられます。

・高校生の就労問題 

就労問題は、労働法規や権利意識など、社会人として必要な知識を実践的に学べるテーマです。アルバイト経験を持つ生徒も多く、身近な問題として探究を深められます。

学習の展開としては、労働基準法などの基礎知識の習得から始め、実態調査や課題分析へと進みます。地域の労働基準監督署や企業との連携も、重要な学習機会となります。

成果物としては、同世代向けの労働権利ハンドブックの作成や、優良企業認定制度の立ち上げなど、具体的な形に落とし込むことができます。これらの活動は、将来の職業生活への準備としても有意義です。

・食生活の乱れ 

食生活の問題は、健康や学習効率など、生徒の日常生活に直結するテーマです。栄養学的な知識と実践的なアプローチを組み合わせた探究が可能です。


研究プロセスでは、朝食欠食の実態調査や要因分析から始め、栄養バランスや調理時間など、現実的な制約を考慮した解決策の検討へと進みます。管理栄養士や学校給食の専門家との連携も効果的です。


アウトプットの方向性としては、簡単で栄養価の高いレシピの開発や、SNSでの情報発信、学食メニューの改善提案など、実用的な成果を生み出すことができます。生徒たち自身の食生活改善にもつながる点が特徴です。

・若者の政治参加 

政治参加は、民主主義の担い手として必要な知識と行動力を育める重要なテーマです。18歳選挙権の実現により、より現実的な探究課題となっています。

学びの設計では、政治的中立性に配慮しながら、選挙の仕組みや政策分析の方法など、基礎的な知識の習得を重視します。地域の選挙管理委員会や議員との連携により、実践的な理解を深めることもできます。

探究活動では、模擬投票の実施や、政策討論会の企画運営など、主体的な取り組みが可能です。SNSを活用した若者向けの選挙情報発信なども、効果的なアプローチとなるでしょう。

・部活動改革 

部活動改革は、教育制度と地域社会の関係性を考察できる面白いテーマです。持続可能な活動モデルの構築という観点から、多面的な探究が可能です。

取り組みにあたっては、生徒の目線での教員の働き方改革や地域人材の活用など、様々な要素を考慮する必要があります。他校や海外の事例研究も、新しいアイデアを得る上で有効です。

フィールドワークとしては、地域のスポーツクラブや文化団体との連携可能性の調査や、新しい活動形態のモデル事業の実施などが考えられます。実現可能性の高い提案を目指します。

・進路選択の悩み 

進路選択は、同世代が共通して抱える重要課題であり、情報技術を活用した支援の可能性を探れるテーマです。

学習活動では、進路選択における不安や悩みの分類分析から始め、効果的な情報提供の方法を検討します。キャリアカウンセラーや卒業生との連携も有効な手段となります。

具体的な取り組みとしては、先輩の進路選択体験をデータベース化したアプリのアイデアや、オンライン相談会の運営などが挙げられます。当事者視点を活かした支援システムの構築が出来ると、より面白いテーマになるでしょう。

・若者の睡眠不足 

睡眠不足は、学習効率や心身の健康に直結する身近な課題です。科学的知見と実践的な改善策を組み合わせた探究活動が可能です。

研究の進め方としては、睡眠時間や質の調査、生活習慣との相関分析などから開始し、具体的な改善プログラムの開発へと展開します。睡眠専門医や心理学の専門家との協働も検討に値します。

成果の応用として、スマートフォンアプリを活用した睡眠管理システムの構築や、学校全体での「快眠プロジェクト」の展開などができると面白いテーマになります。

・コミュニケーション不安 

コミュニケーション不安は、現代の若者が直面する普遍的な課題であり、オンライン化が進む社会において特に重要な探究テーマです。対面とオンラインの特性を活かした新しいコミュニケーション手法を考えてみると面白いテーマになります。

アプローチとしては、不安の要因分析やコミュニケーションの類型化から始め、効果的な対話の場づくりへと発展させます。心理学の知見を活用した実験的な取り組みも有効です。

探究の実践では、オンラインとオフラインを組み合わせたハイブリッドな交流の場の設計や運営に取り組めます。効果測定と改善を重ねることで、エビデンスに基づいた提案が可能となります。

・若者の経済教育 

金融リテラシーの向上は、将来の経済的自立に向けて不可欠な課題です。同世代の視点を活かした実践的な経済教育プログラムの開発が期待できます。

指導の展開では、基礎的な金融知識の習得から、投資や保険など実践的なテーマへと段階的に進めます。金融機関や経済の専門家との連携により、より専門的な学びも可能です。

活動の形としては、体験型の金融教育講座の企画運営や、シミュレーションゲームの開発など、楽しみながら学べる工夫が重要です。SNSを活用した情報発信も効果的でしょう。

・メンタルヘルス 

メンタルヘルスは、予防と対策の両面からアプローチできる現代的な健康課題です。特にコロナ禍以降、その重要性は一層高まっています。

探究の方向性として、ストレス要因の分析やセルフケア方法の研究から始め、具体的な支援システムの構築へと展開します。スクールカウンセラーや精神保健の専門家との協働も重要です。

これらの学校生活に関連する課題は、いずれも生徒たちの日常に密接に関わるテーマであり、主体的な探究活動を展開しやすい特徴があります。

また、実践的な解決策の提案や検証が可能であり、学校全体や地域社会への具体的な貢献も期待できるでしょう。

探究活動を通じて、問題発見力、課題解決力、コミュニケーション能力など、社会で求められる様々な能力を育成することができます。

さらに、自分たちの活動が実際の改善につながる体験は、生徒たちの自己効力感を高め、より積極的な社会参画への動機づけとなることが期待できるので積極的にテーマに選ぶと良いでしょう。

環境・サステナビリティの社会問題(10選)

環境問題は生徒にとって少し遠い社会問題と感じられがちですが、身近な行動から始められる点が特徴です。実際に多くの学校で、小さな取り組みから大きなムーブメントを生み出しています。

・給食廃棄物の削減 

給食廃棄物の問題は、日々の食生活から環境問題を考えられる優れた探究テーマです。食品ロスという世界的な課題と、給食という身近な活動を結びつけることで、具体的な行動変容を促すことができます。

学習の展開では、まず残食量の定量的な調査から始め、なぜ食べ残しが発生するのかという要因分析へと進みます。栄養教諭や給食センターとの連携により、メニュー改善の可能性も検討すると面白いテーマになります。

活動成果としては、コンポスト化による循環システムの構築や、食育プログラムの開発など、持続可能な取り組みへと発展させることができます。数値的な効果検証も重要な要素となります。

・制服のリサイクル 

制服リサイクルは、衣類の環境負荷という大きな問題に、学校という場から具体的にアプローチできるテーマです。経済的支援の側面も持ち合わせており、社会的意義が高い活動となります。

探究の過程では、需要と供給のマッチング方法や、品質管理の仕組みなど、実務的な課題解決が求められます。また、プライバシーへの配慮や、運営の持続可能性なども重要な検討要素です。

取り組みの形として、デジタルプラットフォームの構築や、クリーニング業者との連携体制の確立など、実践的なシステム作りが可能です。

・校内の省エネルギー 

省エネルギーは、データに基づいた提案と効果検証が可能な実践的テーマです。IoT技術の活用など、先端技術と環境問題を結びつけた探究活動が展開できます。

研究の進め方としては、電力使用量の測定・分析から始め、具体的な削減策の立案、実施、効果検証というPDCAサイクルを回します。専門家との連携により、より専門的な提案も可能です。

・マイクロプラスチック問題 

マイクロプラスチックは、地域の環境活動から地球規模の課題へと視野を広げられる探究テーマです。海洋汚染という深刻な環境問題に、具体的なアクションで取り組むことができます。

調査活動では、海岸清掃での実態把握から始め、プラスチック使用の実態調査、影響分析へと展開します。専門機関との連携により、科学的な調査・分析も可能です。

実践的な活動として、地域の事業者と協力した脱プラスチックの取り組みや、代替製品の開発・提案なども考えられます。啓発活動による地域全体での意識改革も重要です。

・地産地消の推進 

地産地消は、食と環境の関係性を、給食という身近な題材から学べる探究テーマです。生産者と消費者の距離を縮めることで、フードマイレージの削減にもつながれば大きな成果になるでしょう。

学習展開としては、給食で使用される食材の産地調査から始めます。地域の農家さんへのインタビューや、市場見学なども取り入れることで、地域の農業についての理解を深めることができます。

具体的な取り組みとしては、地元野菜を使った給食メニューの提案や、生産者と生徒の交流給食の企画など、比較的取り組みやすい活動から始められます。食育だよりでの情報発信も効果的です。

・生物多様性の保全 

生物多様性は、校庭や学校周辺という身近な環境から探究できるテーマです。生態系の観察を通じて、環境保全の重要性を実感的に学ぶことができます。

調査活動としては、例えば校内で見られる植物や昆虫の記録作成から始めるのも面白いでしょう。定点観測や写真記録など、継続的なデータ収集を行うことで、環境の変化も把握できます。

実践例としては、在来種の植物を植える活動や、昆虫の観察会の開催など、他学年を巻き込んだ活動が可能です。観察記録をまとめた校内マップの作成も良いでしょう。

・再生可能エネルギーの活用 

再生可能エネルギーは、電力使用量という具体的なデータを基に考察できるテーマです。環境とエネルギーの関係について、実践的に学ぶことができます。

探究の手順としては、まず学校の電気使用量の調査から始める方法があります。天候と電力消費の関係性分析や、省エネの可能性調査なども行えるので、生徒たちにとっても面白いテーマになります。

取り組みやすい活動としては、ミニソーラーパネルを使った発電実験や、自然光の活用促進キャンペーンなどが考えられます。電力使用量の見える化ポスターの作成も効果的です。

・古着のアップサイクル 

古着のアップサイクルは、ファッションという親しみやすい題材から、環境問題にアプローチできるテーマです。創造的な活動を通じて、資源の有効活用について考えることができます。

活動としては、まず家庭での不要な衣類の調査からスタートしてみましょう。衣類の廃棄量や処分方法についての調査も、問題意識を高めるのに効果的です。

実践可能な取り組みとしては、古着を使ったエコバッグ作りや、小物のリメイク教室の開催などが考えられます。文化祭での展示・販売も、活動の良いモチベーションとなります。

・食品ロス対策 

食品ロスは、家庭や学校など身近な場所から取り組める環境問題です。フードバンク活動との連携により、環境保護と社会貢献を同時に学べる探究テーマとなります。

学習の進め方としては、まず家庭や学校での食品廃棄の実態調査から始めます。賞味期限と消費期限の違いの理解や、食品の保存方法の研究なども、具体的な活動として取り組んでみましょう。

実践的な活動例としては、家庭で余っている食品の持ち寄り会の企画や、フードドライブの実施などが考えられます。また、食品ロスを減らすための調理術を学び、レシピ集を作成するのも効果的です。保存食づくりのワークショップなども、取り組みやすい活動です。

・廃棄物の削減 

廃棄物削減は、学校生活の中で日常的に取り組める環境テーマです。特に文化祭などの学校行事は、一時的に大量のごみが発生するため、具体的な改善策を考えやすい題材なのでおすすめです。

調査活動としては、学校から出るごみの種類と量の記録から始めましょう。分別の実態調査や、リサイクル可能なものの割合調査なども、基礎的なデータとして活用できます。

身近な実践としては、分別を分かりやすく示したポスターの作成や、リユース食器の導入提案などが考えられます。また、文化祭での環境に配慮した模擬店の運営ガイドラインづくりなども、実現可能な面白い取り組みです。

テクノロジーと社会問題(10選)

テクノロジーを活用した社会問題の解決は、特に探究学習との相性が良いテーマです。プログラミングやデジタルツールの活用に長けた生徒が多い現代だからこそ、具体的な成果に結びつきやすい特徴があります。

・独居高齢者の見守りシステム 

高齢化社会における見守りは、テクノロジーの活用で大きく改善できる分野です。生徒たちの技術力を社会貢献に直接つなげられる点が、探究テーマとしてやりがいがあります。

学習の展開では、例えば、地域の高齢者世帯の課題把握から始めることが考えられるでしょう。民生委員や地域包括支援センターへのヒアリングを通じて、現場のニーズを理解します。

技術面では、センサー技術やLINE APIなど、比較的扱いやすいツールから取り組むことができます。

実践としては、簡単な動作検知から始め、段階的にシステムを発展させることが可能です。プロトタイプを作成し、実際の利用者からフィードバックを得ながら改善を重ねていく過程も、重要な学びとなります。

・防災情報共有アプリ 

防災は地域全体で取り組むべき課題であり、情報共有の重要性を学べる面白い探究テーマです。特に災害時の情報格差解消は、テクノロジーが貢献できる重要な分野です。

研究活動では、過去の災害における情報共有の課題分析から始めます。避難所運営の関係者や防災担当者との対話を通じて、実用的なシステムの要件を明確にしていきます。

具体的な取り組みとしては、まず避難所マップの作成から始め、徐々に情報共有機能を追加していくアプローチが考えられます。

防災訓練での実証実験は、システムの有効性を確認する良い機会となります。

・観光案内チャットボット 

観光案内は、地域の魅力発信とテクノロジーを結びつけられるテーマです。多言語対応の必要性など、グローバルな視点での学びも期待できます。

探究の過程では、まず観光客の典型的な質問をリストアップし、対応データベースを作成します。オープンソースのチャットボットプラットフォームを活用すれば、プログラミングの負担も軽減できます。

実践活動としては、基本的な質疑応答機能の実装から始め、利用者の反応を見ながら機能を拡充していく方法が効果的です。観光協会との連携により、正確な情報提供も可能となります。

・図書館の電子化支援 

図書館の電子化は、地域の文化資産を未来に残すための重要な取り組みです。デジタルアーカイブの作成を通じて、情報保存と公開の意義を学べます。

学習展開としては、まず図書館の現状調査と課題抽出から始めると面白いでしょう。特に郷土資料は、デジタル化の優先度が高い対象として注目できます。

取り組みやすい活動としては、資料の撮影・スキャンから始め、メタデータの整理、閲覧システムの構築へと段階的に進めることができます。著作権への配慮も重要な学習要素となります。

・オンライン学習支援 

オンライン学習支援は、教育のデジタル化と不登校支援という二つの重要な社会課題を結びつけた探究テーマです。生徒たちにとって身近な学習環境の改善に取り組めることから、主体的な探究活動が期待できます。

探究の過程では、例えば不登校生徒や保護者、教員へのインタビューを通じて、オンライン学習に対する具体的なニーズを明らかにしていきます。既存の学習支援システムの分析も有効で、改善点を見出すきっかけになるでしょう。

また、ビデオ会議システムやチャットツールなど、既存のプラットフォームを組み合わせることから始められます。これにより、プログラミングスキルの有無に関わらず、全ての生徒が参加できる環境を整えられます。

実践活動としては、基本的な学習支援機能の実装から始め、実際の利用者からのフィードバックを得ながら機能を拡充していく方法が効果的です。地域の教育機関と連携することで、現場のニーズに即したシステム開発が可能になります。

また、学習進捗の可視化機能やAIを活用した自動採点システムなど、発展的な機能の追加も検討できます。

・農作物の生育管理システム 

農作物の生育管理システムは、農業のデジタル化と地域の基幹産業支援を組み合わせた探究テーマです。センサーの技術やデータ分析を実践的に学べることから、科学的な探究プロセスを体験できます。

探究の過程では、まず地元農家への聞き取り調査を通じて、栽培における具体的な課題や必要な観測データを集めていきます。温度、湿度、土壌水分量など、作物の生育に影響を与える要因を整理し、どのようなデータを収集すべきか検討するのも面白いでしょう。

実践活動としては、基本的なデータ収集と可視化の仕組みづくりから始め、収集したデータと実際の生育状況を照らし合わせながらシステムの精度を高めていきます。地元農家との協力関係を築くことで、実際の農業現場での実証実験が可能になり、より実践的な研究として深めることができます。

・バリアフリーマップアプリ 

バリアフリーマップアプリは、地域のバリアフリー環境の改善と情報技術を結びつけた、社会貢献性の高い探究テーマです。生徒たちが日常生活で目にする施設のバリアフリー情報を集めることから始められるため、取り組みやすい特徴があります。

探究の過程では、まず地域の車椅子利用者や施設管理者へのインタビューを通じて、どのような情報が必要とされているのかを具体的に把握します。例えば、スロープの有無、段差の高さ、多目的トイレの場所など、実際に必要とされる情報を明確にしていきます。

技術面では、既存の地図アプリやSNSの機能を参考に、簡単な情報投稿の仕組みを考えることができます。

実践活動としては、学校周辺の施設から順にバリアフリー情報を収集し、写真や簡単な説明文をデータベース化してみると面白いでしょう。

収集した情報は紙の地図やウェブサイトにまとめることから始め、徐々にアプリ化を目指すといった段階的な進め方が効果的です。地域の福祉団体や商店街との連携により、より広範な情報収集と実用的な活用が期待できます。また、集めた情報を基に、地域のバリアフリー環境の改善提案を行うことも、探究活動の発展として考えられます。

・商店街デジタル化支援 

商店街デジタル化支援は、地域の商店街活性化とデジタル技術を結びつけた、身近な探究テーマです。地元の店舗を実際に訪れて課題を見つけることから始められ、具体的な改善策を考えやすい特徴があります。

探究の過程では、まず商店主や来店客へのインタビューを通じて、デジタル化に関する具体的なニーズや不安を把握します。例えば、予約管理の煩雑さや情報発信の難しさなど、日々の運営における課題を明らかにします。技術面では、既存の予約システムやSNSなど、すぐに活用できるツールを組み合わせることから始められます。

実践活動としては、商店街の1~2店舗を対象に、基本的な予約管理やSNS発信の支援から取り組みます。例えば、無料の予約フォームを作成したり、インスタグラムでの商品紹介を手伝ったりするところから始め、徐々に対象店舗を増やしていきます。また、商店街全体のマップ作成やイベント情報の発信など、個店支援から商店街全体の活性化へと広げていくことで、より充実した探究活動となるでしょう。

・医療情報の可視化 

医療情報の可視化は、地域の医療アクセス向上とデータの活用を組み合わせた、社会的意義の高い探究テーマです。身近な医療機関の情報を整理・発信することから始められ、具体的な成果を実感しやすい特徴があります。

探究の過程では、まず地域住民や医療機関へのアンケートを通じて、どのような情報が求められているのかを把握します。例えば、診療科目、待ち時間、バリアフリー対応など、実際に必要とされる情報を明確にしていきます。

また、既存の地図サービスを活用したり、簡単なウェブサイトを作成したりすることから始めるとより面白いテーマになるでしょう。

実践活動としては、まず学校周辺の医療機関の基本情報を収集し、分かりやすく整理することから始めます。例えば、診療時間や休診日、対応可能な保険種類といった情報をまとめ、写真や地図と組み合わせて見やすく表示します。地域の医師会や保健センターと連携することで、より正確で有用な情報を提供できるようになるでしょう。

・交通データ分析 

交通データ分析は、地域の公共交通の利便性向上とデータ活用を結びつけた、実践的な探究テーマです。日常的に利用するバスや電車の運行状況を観察することから始められ、身近な課題の解決に取り組める特徴があります。

探究の過程では、まず通学や買い物などでバスを利用する地域住民へのアンケートを通じて、具体的な不便さや改善してほしい点を把握します。例えば、遅延が多い時間帯や混雑しやすい区間など、実際の利用者の声を集めていきます。技術面では、時刻表アプリや混雑情報の収集など、既存のサービスを参考にしながら進められます。

実践活動としては、特定のバス路線について、乗車人数や所要時間を定期的に記録することから始めます。例えば、朝の通学時間帯の混雑状況や、天候による遅延の傾向などを調べ、分かりやすくグラフ化します。

地域のバス会社と協力することで、より詳しい運行データを入手できる可能性もあります。集めたデータを基に、バスの増便が必要な時間帯を提案したり、効率的な運行ルートを考えたりと、具体的な改善案の検討へとつなげることができます。

このように、テクノロジーを活用した社会問題解決は、生徒の技術的スキルを活かしながら、具体的な社会貢献につなげられる点が特徴です。実際の開発過程では、地域の企業や専門家との連携も生まれやすく、キャリア教育としての側面も持ち合わせています。

そのほか、高校生の探究学習におすすめのテーマはこちらをご覧ください。

中学生向けの探究学習のテーマはこちらです。

“教科書にない”社会問題の探し方

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SNSから見つける最新の社会問題

Z世代の生徒たちにとって、SNSは重要な情報源です。

TikTokやInstagramで話題になっているハッシュタグ運動や、若者による社会活動の発信から、教科書では扱われていない新しい社会問題を見つけることができます。

例えば、#SDGs関連の投稿やエシカル消費に関する情報発信は、生徟たちの興味を引きやすいテーマとなっています。

生徒の日常から発見する意外な社会問題

身の回りを注意深く観察することで、意外な社会問題が見えてきます。

学校での給水機の設置場所や数の問題、制服のジェンダー規定、放課後の居場所の不足など、生徒自身が日々感じている不便さや疑問から、社会問題を見出すことができます。

これらは、生徒たちにとって非常に身近で、かつ解決に向けて行動を起こしやすい社会問題となります。

ローカルニュースから拾う地域特有の社会問題

地域のニュースサイトやコミュニティ紙には、全国ニュースでは取り上げられない地域特有の社会問題が満載です。

例えば、地元の商店街の活性化問題、高齢化による地域行事の継続の危機、獣害対策など、地域に根ざした社会問題は、生徒たちの当事者意識を高めやすく、具体的な行動にも結びつきやすい特徴があります。

生徒を惹きつける社会問題の提示方法

探究学習で社会問題を扱う際、最初の導入が非常に重要です。

ただ単に「面白い社会問題を探してきなさい」と言っても、生徒は動き出せません。ここでは、実際に成功した事例をもとに、効果的な提示方法をご紹介します。

導入時の工夫

生徒の興味を引き出すために、以下のような導入が効果的でした:

・SNSの投稿から始める 

「最近バズっている社会問題」をクラスで共有する時間を設けます。TikTokやInstagramで話題になっている社会問題は、生徒にとって身近に感じられやすいものです。

・クイズ形式で提示

 「なぜ制服のスカート丈は決まっているの?」「なぜコンビニのおにぎりは三角形?」など、日常の「なぜ?」から社会問題へと展開します。

・写真や動画の活用 

「このコンビニの廃棄弁当の山をどう思う?」「通学路のこの交差点、危険だと思わない?」など、視覚的な資料から問題提起をします。

教員の効果的なサポート方法

生徒たちが社会課題に取り組む際、教員の適切なサポートが成功の鍵を握ります。以下では、実践で効果が実証されている具体的なサポート方法をご紹介します。

テーマの絞り方

面白い社会問題を見つけても、そのままでは範囲が広すぎて取り組みにくいものです。以下のような絞り込み方が効果的でした:

・時間軸で絞る 

「今月中に」「今学期中に」など、具体的な期限を設定します。

・場所で絞る

 「学校の周り1km以内で」「自分の通学路で」など、範囲を限定します。

・対象で絞る 

「同世代の人が困っていること」「高齢者が直面している問題」など、特定の層に焦点を当てます。

グループ分けのコツ

社会問題への取り組みは、グループ活動が効果的です。以下のような工夫で、より活発な活動が期待できます:

・興味分野でグルーピング

 「環境」「福祉」「教育」など、大きなテーマごとにグループを作ります。

・役割分担を明確に 

「調査班」「企画班」「広報班」など、得意分野を活かせる役割を設定します。

・異なる視点の組み合わせ

 文系・理系など、異なる視点を持つメンバーを意図的に組み合わせることで、多角的なアプローチが可能になります。

このように、生徒の興味を引き出し、具体的な活動につなげていくための工夫が、面白い社会問題への取り組みを成功に導く鍵となります。

実践事例から見る効果的な進め方

社会問題を探究テーマとして扱う際、どのように進めていけばよいのか。ここでは、実際に成果を上げた3つの事例から、効果的なアプローチ方法をご紹介します。

事例1:フードロス問題に取り組んだAチーム

このチームの特徴は、問題を細分化し、段階的にアプローチしたことです。

第1段階:実態調査

  • 学校給食の残量調査を1ヶ月実施
  • 地域のスーパーでの廃棄量調査
  • 家庭でのフードロス調査(100世帯にアンケート)

第2段階:原因分析

  • 給食が残る理由のヒアリング
  • 食品廃棄の要因分析
  • 専門家へのインタビュー

第3段階:解決策の実践

  • 給食レシピの改善提案
  • フードバンクとの連携構築
  • 食品ロス削減アプリの開発

このように段階を踏んで進めることで、具体的な成果につながりました。

事例2:独居高齢者支援に取り組んだBチーム

このチームは、最初から技術的な解決策を考えるのではなく、まず現場の声を丁寧に聞くことから始めました。

  1. 問題発見フェーズ
  • 地域包括支援センターでのインターンシップ
  • 独居高齢者宅への訪問調査
  • 民生委員へのヒアリング
  1. 解決策検討フェーズ
  • 高齢者が実際に使えるかのユーザビリティ検証
  • 既存サービスの分析
  • 予算面での実現可能性検討
  1. 実装フェーズ
  • プロトタイプの作成と検証
  • 地域での試験運用
  • フィードバックを基にした改善

このように、現場視点を大切にしながら進めることで、実用的な解決策を生み出すことができました。

事例3:商店街の活性化に取り組んだCチーム

このチームの特徴は、失敗を恐れずに小さな実験を繰り返したことです。

  1. リサーチフェーズ
  • 商店街の利用者数調査
  • 空き店舗マッピング
  • SNSでの商店街の話題度分析
  1. 実験フェーズ
  • 週末限定の高校生カフェ運営
  • インスタグラム映えスポットの設置
  • 商店街スタンプラリーの企画
  1. 展開フェーズ
  • 成功した企画の定例化
  • 他校との連携拡大
  • 行政との協力体制構築

これらの事例から見える成功のポイント

・身近なところからスタートする 

大きな社会問題に直接取り組むのではなく、まず自分たちの周りにある具体的な社会問題から始めることが重要です。

・データに基づいて進める

 「こうではないか」という推測だけでなく、実際の数字やヒアリング結果などのデータを集めることで、説得力のある提案ができます。

・小さく始めて大きく育てる

 完璧な解決策を目指すのではなく、まず小規模な実験から始めて、徐々に規模を拡大していく方法が効果的です。

・多様な関係者を巻き込む

 生徒だけで解決しようとせず、地域の人々、専門家、行政など、様々な立場の人々と協力関係を築くことが重要です。

・継続性を考える 

単年度で終わらせるのではなく、後輩に引き継げる形で活動を設計することで、より大きな成果につながります。

このように、社会問題への取り組みは、正しい進め方さえ押さえていれば、高校生でも十分に実現可能です。

教員の効果的なサポート方法

社会問題を探究テーマとして扱う際、教員の関わり方が生徒の活動の質を大きく左右します。ここでは、100校以上での実践から見えてきた効果的なサポート方法をお伝えします。

テーマ設定時の声かけ

最も重要なのは、生徒の「やりたい」という気持ちを引き出すことです。例えば以下のような声かけが効果的でした。

「最近ニュースで気になったことは?」 「友達と話していて、おかしいなと思ったことは?」 「SNSでよく目にする問題は?」

このように、生徒の日常生活に根ざした問いかけから始めることで、社会問題を自分ごととして捉えやすくなります。

調査活動のサポート

生徒が陥りやすい「ネット検索だけ」の調査から脱却するために以下の3つのポイントを工夫しましょう。

・現場視点の重要性を伝える

 「実際に見に行ってみよう」「当事者の話を聞いてみよう」という提案をします。

・多角的な視点の提供

 「反対の立場の人は何を考えているのだろう」「なぜ今まで解決できなかったのだろう」といった視点を投げかけます。

・専門家とのつながり

必要に応じて、地域の専門家や関係機関を紹介します。教員のネットワークを活用することで、生徒の活動の幅が大きく広がります。

プロジェクト管理のコツ

・適切なマイルストーンの設定

 「来週までに何をする?」「今月の目標は?」など、具体的な目標設定を促します。

・記録の習慣化

活動記録やミーティングノートの作成を習慣づけることで、後々の振り返りや引き継ぎに役立ちます。

・成功体験の積み重ね 

小さな成功を積み重ねることで、生徒のモチベーションを維持することができます。

特に重要なのは、「答えを教えない」ということ。生徒が自ら考え、試行錯誤する過程こそが、探究学習の本質だからです。

まとめ

社会問題を「面白い」と感じられるかどうかは、生徒たちの日常生活との結びつきや、自分にもできることがあると実感できるかどうかにかかっています。

教育者として重要なのは、大きな社会問題と身近な問題をうまく結びつけ、生徒たち自身が「自分ごと」として捉えられる機会を提供することではないでしょうか。

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この記事を書いた人

全国の中学・高校に越境探究プログラム『VISIONs』を提供。
導入実績107校以上、参加生徒5,000人、全世界47カ国を舞台に探究学習プログラムを企画・運営。学校オリジナルの探究学習に興味がある方はお問合せください。

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