【完全ガイド】探究学習とは?高校探究学習の実践例とおすすめテーマを徹底解説
「探究学習って具体的に何をすればいいんですか?」
「生徒の主体性を引き出すコツを教えてください」
「効果的なテーマ設定の方法が分かりません」
これは全国の学校を訪問する中で、最もよく耳にする質問です。
弊社は教育現場で10年以上探究学習に携わり、100校以上の学校で実践してきました。
高校生の探究活動を支援する傍ら、教員研修や教材開発にも取り組んでいます。
この記事では、そんな現場での経験をもとに、探究学習の本質から実践事例まで、徹底的に解説していきます。特に、多くの先生が悩む「テーマ設定」や「評価方法」については、具体例を交えながら詳しく説明します。
探究学習とは何か?探究学習の定義と特徴
探究学習は、生徒が自ら課題を見つけ、情報を集め、整理・分析し、解決策を考え実践していく一連の学習プロセスを指します。
その本質は、「自分で考え、行動し、振り返る」という主体的な学びのサイクルを通じて、生涯にわたって学び続ける力を育むことにあります。
全国の実践校での取り組みを見ると、効果的な探究学習には以下の要素が含まれています。
- 実社会との接点を持った学び
- 教科の枠を超えた統合的な思考
- 他者との協働による問題解決
- 継続的な振り返りと改善
例えば、ある高校では地域の特産品を世界に発信するプロジェクトを展開しています。
生徒たちは市場調査から商品開発、海外バイヤーとの交渉まで、実社会での活動を通じて探究を深めています。
このように、探究学習は従来の座学中心の学習とは異なる、新しい学びの形を提供しています。
なぜ今、探究学習が必要とされているのか
社会のデジタル化やグローバル化が急速に進む中、従来型の知識習得中心の教育では対応できない時代が到来しています。
特に、AIの発達により、単純な知識の習得や反復作業は機械に代替される可能性が高まっています。
このような背景から、文部科学省は2022年度から実施の新学習指導要領において、「探究的な学び」を重視する方針を打ち出しました。
その狙いは、予測困難なVUCA時代を生き抜くために必要な、以下のような力を育成することにあります。
探究学習で身につく4つの力
実践校での調査によると、探究学習を通じて生徒たちは以下のような力を着実に身につけていることが確認されています。
- 自己理解力と主体性: 自分の興味関心を深く掘り下げ、自ら行動を起こす力
- 情報活用力: 多様な情報源から必要な情報を収集し、適切に分析・評価する力
- 問題解決力: 課題の本質を見極め、創造的な解決策を導き出す力
- 協働・発信力: 多様な他者と協力しながら、自らの考えを効果的に発信する力
実践から見える高校探究学習の真の価値
これらの課題を乗り越えた学校では、驚くべき成果が報告されています。
例えば、ある高校では地域の環境問題に取り組んだ探究活動がきっかけとなり、実際の政策提言につながりました。
また、別の学校では、探究活動を通じて見出した関心事が進路選択に直結し、難関大学への進学を実現した例も報告されています。
このように、適切に実施された探究学習は、単なる学習活動を超えて、生徒の人生や地域社会に具体的な変化をもたらす可能性を秘めています。
高校探究学習で陥りやすい3つの罠
弊社が50校以上の学校で探究学習の支援をしてきた中で、どの学校でも共通して見られる課題や悩みがあることに気づきました。
この章では、私の経験から見えてきた3つの典型的な罠と、その対策についてお伝えしていきます。
1. 形式的な探究活動
教員が用意した答えに生徒を誘導してしまう典型的なパターンです。
【具体例】
- 教員が予め設定したテーマから選ばせる
- 調べる内容や手順を細かく指示する
- 「正解」を期待した声かけをしてしまう
【対策】
- 生徒の「なぜ?」を大切にする
- 教員は答えを持たない立場であることを意識する
- 失敗や試行錯誤を推奨する文化をつくる
2. 表面的なテーマ設定
インターネットの情報収集だけで完結してしまい、実社会との接点が持てないケース。
【よくある例】
- 「地球温暖化について調べる」
- 「食品ロスの現状を知る」
- 「少子高齢化の課題を整理する」
【改善例】
- 「地域の温室効果ガス排出量を測定し、削減案を提案する」
- 「学校給食の食品ロスを計測し、具体的な対策を実行する」
- 「地域の高齢者にインタビューし、新しい支援サービスを開発する」
3. 発表会のための学習
探究のゴールが発表会に向けたプレゼンテーションの完成になってしまうケース。
【問題点】
- 見栄えの良い資料作りに時間を費やす
- 深い考察や実践が不足する
- 発表後に活動が終わってしまう
【改善策】
- 中間発表会を複数回設定する
- 実践・実装を必須要件とする
- 発表後の展開まで計画に含める
- 外部評価者からのフィードバックを活用する
罠を回避するためのチェックポイント
この3つの罠を回避するために、以下のポイントを意識してみましょう。
□ 生徒が主体的に課題を設定できているか
□ 実社会との接点が確保できているか
□ インターネット以外の情報源を活用しているか
□ 具体的な実践活動が含まれているか
□ 発表後の展開が計画されているか
□ 教員の介入が適切な範囲に収まっているか
□ 失敗や試行錯誤が推奨される環境があるか
これらの罠を意識的に避けることで、より深い学びを実現する探究活動が可能になります。
探究学習テーマの選び方・決め方
探究学習テーマの3つの軸
効果的な探究学習を実現するためには、適切なテーマ設定が不可欠です。実践校での成功事例を分析すると、探究テーマは以下の3つの軸に分類できます:
- 社会課題解決型 :持続可能な社会の実現に向けて、具体的な社会課題の解決を目指すテーマ。SDGsの17の目標と関連付けることで、グローバルな視点と地域の課題を結びつけることができます。
- 個人の興味関心型 :生徒自身の趣味や特技、日常生活での疑問から出発するテーマ。主体的な探究活動を促す上で、最も取り組みやすい入口となります。
- 地域連携型 :地域の特色や課題に着目し、地域社会と協働しながら解決を目指すテーマ。実社会との接点を持ちやすく、具体的な成果が見えやすいという特徴があります。
人気の探究学習テーマ実例【分野別】
【環境分野】
- 地域の河川の水質改善プロジェクト *具体例:水質調査→原因分析→地域への提言
- 学校のゴミ削減計画 *具体例:実態調査→削減案の立案→実践と効果測定
- 再生可能エネルギーの地域実装 *具体例:太陽光発電の可能性調査→導入提案
【国際分野】
- 途上国の教育支援 *具体例:現地学校とのオンライン交流→具体的支援策の立案
- フェアトレード商品の開発 *具体例:地域特産品の海外展開→販路開拓
- 多文化共生社会の実現 *具体例:外国人労働者の課題調査→解決策の提案
【地域活性化】
- 特産品の商品開発 *具体例:市場調査→試作品開発→販売実験
- 観光資源の発掘 *具体例:地域資源の調査→観光プラン作成→実証実験
- 空き家問題の解決 *具体例:実態調査→活用案の提案→モデル事業の実施
探究学習に必要な要素とは
優れた探究学習のテーマには、以下の4つの要素が必ず含まれています。これらの要素を意識的に組み込むことで、より深い学びが実現できます。
1. 実現可能性
高校生の活動として実施可能な範囲であることが大前提です。時間、予算、活動範囲などの制約を考慮し、無理のない計画を立てることが重要です。例えば、「地域の河川環境を改善する」というテーマであれば、まずは学校近くの特定の区間に絞って活動を始めるなど、具体的で実現可能な範囲から取り組むことが成功のカギとなります。
2. 独自性
インターネットだけでは解決できない要素を含むことで、オリジナリティのある探究が可能になります。現地調査やインタビュー、実験・観察など、実際のフィールドワークを通じて得られる一次データが重要です。地域の高齢者福祉をテーマにする場合、文献調査だけでなく、実際に施設を訪問し、利用者や職員の声を直接聞くことで、独自の視点や解決策が見えてきます。
3. 発展性
活動を通じて新たな課題や可能性が見えてくることで、探究が深化していきます。最初に設定したテーマから、予想していなかった方向に研究が広がっていくことも珍しくありません。例えば、地域の特産品開発から始まった活動が、生産者との対話を通じて農業の担い手不足という新たな課題の発見につながり、さらなる探究へと発展していくことがあります。
4. 社会性
探究活動が何らかの形で社会貢献につながることで、生徒たちの学びはより深いものとなります。地域の課題解決や、人々の生活向上に寄与する要素を含むことで、活動の意義が明確になり、モチベーションも維持しやすくなります。学校の周辺環境の改善や地域の伝統文化の継承など、身近な社会課題から取り組むことで、具体的な成果を実感することができます。
これらの要素は、探究活動の開始時点ですべてが完璧である必要はありません。活動を進める中で徐々に各要素を充実させていくことで、より意義深い探究学習が実現できます。重要なのは、これらの要素を意識しながら、継続的に活動の質を高めていく姿勢です。
探究学習の具体的な事例
「具体的な例が知りたい」という方も多いと思いますので、弊社が関わらせていただいた学校での取り組みについてご紹介します。
長野日本大学高等学校「世界部」の挑戦
世界部では「長野の魅力を世界に発信する」をテーマに、小学生から高校生までが協働して、活動しています。
生徒たちの中には食をテーマに取り組んでいるグループがあります。
おやきチームの生徒たちは、地元企業「いろは堂」と連携し、海外展開を目指した活動を展開。店舗でのインターンシップや商品企画会議への参加を通じて、実践的な学びを重ねています。
別のチームは七味唐辛子に着目し、伝統的な調味料を美容アイテムとして再解釈する新しい提案に取り組んでいます。商品企画の担当者との対話を重ね、実際の試作品開発まで行っています。
追手門学院の探究学習コース
「好き」を起点にした探究活動を展開しています。
ある生徒は学校内の植生調査に没頭し、自主的に森の中を調査。その活動は学校のブランディング活動にも影響を与えています。
また、ドローン同好会の生徒たちは、学校を空撮しようと河川敷でドローンを飛ばし、国土交通省から指導を受けるという出来事もありました。この映像は現在、学校のホームページで活用されています。
失敗を恐れない挑戦が、思わぬ成果につながった例と言えます。
クラーク記念国際高等学校のオンラインチャレンジ
コロナ禍という制約の中、オンラインを活用した探究活動を展開。
生徒たちは海外企業とのインターンシップに取り組み、カンボジアの企業と協働して日本の食品の販売戦略を考案しました。
特に印象的なのは、宮崎の焼き芋をカンボジアのイオンモールで販売することに成功した事例です。地域の特産品を世界に広げるという挑戦が、具体的な成果として実を結びました。
これらの事例に共通するのは、生徒たちの「やってみたい」という思いを大切にしながら、実社会との接点を持った実践的な活動を展開している点です。時には失敗することもありますが、そこから得られる学びを次の段階へとつなげていく。そんな探究のプロセスが、生徒たちの大きな成長につながっているのです。
探究学習の具体的な進め方【4ステップ詳説】
探究学習の進め方は、以下の4つのステップで構成されます。各ステップにおけるポイントと具体的なアクションを解説していきます。
探究学習は4つのステップで構成されます。それぞれのステップを長野日本大学高等学校世界部の「おやき海外展開プロジェクト」を例に見ていきましょう。
Step1:課題の設定
課題設定は探究学習の成否を決める最も重要なステップです。先ほどの例に出てきた長野日大の世界部の生徒たちは、「長野の魅力を世界に発信したい」という大きなテーマから、自分たちにできる具体的な活動を考えました。地域の特産品「おやき」に注目し、海外展開の可能性を探るというテーマに絞り込んでいきました。
このように、漠然とした興味や関心から具体的な課題を設定する際は、実現可能性と社会的意義の両面から検討することが重要です。課題が大きすぎる場合は小さな単位に分割し、逆に個人的な興味に留まる場合は社会との接点を意識的に作っていきます。
Step2:情報の収集
情報収集では、文献調査とフィールドワークをバランスよく組み合わせることが大切です。おやきチームは、まず海外での日本食品の需要調査や類似商品の市場調査を行いました。さらに、実際に製造現場でインターンシップを行い、製造工程や原価の理解を深めました。
特に重要なのは、インターネットだけに頼らない一次情報の収集です。現場での観察やインタビュー、実験など、自分たちでしか得られない情報を重視します。
Step3:整理・分析
収集した情報を整理し、課題解決に向けた分析を行います。おやきチームは、留学生への試食アンケートや海外の食品規制の調査結果をもとに、輸出の実現可能性を多角的に検討しました。
データを可視化し、パターンや傾向を見出すことで、新たな気づきが生まれます。予想外の発見があれば、それを次の調査につなげていきます。
Step4:まとめ・表現
探究活動の成果は、効果的に発信し、社会に還元することが重要です。おやきチームは、商品企画部との打ち合わせを重ね、実際に試作品を開発。文化祭での販売実験を経て、本格的な商品化を目指しています。
発信の方法は、プレゼンテーションに限りません。実証実験や提言など、実社会での実践を通じて成果を示すことも有効です。そして、活動の振り返りを通じて、次のステップへの展望を見出していきます。
このように、4つのステップは決して直線的なものではありません。各段階で新たな発見があれば、前のステップに戻って検討し直すこともあります。重要なのは、常に実社会との接点を意識しながら、探究を深めていく姿勢です。
探究学習の評価方法
探究学習では従来の点数評価とは異なるアプローチが必要です。生徒の主体的な学びを支援し、成長を促す評価の在り方について解説します。
探究学習における「評価の3原則」
1. プロセス重視の評価
結果だけでなく、そこに至るまでの過程を重視します。日々の活動記録や中間発表での進捗確認を通じて、問題解決に向けた試行錯誤のプロセスを評価します。失敗も含めて、そこから何を学んだかを重視する姿勢が大切です。
2. 多面的な評価
教員、生徒本人、クラスメイト、外部評価者など、複数の視点から評価を行います。それぞれの立場からの評価を総合的に捉えることで、より立体的な成長の把握が可能になります。特に外部からの評価は、生徒に新たな気づきをもたらすことも多々あります。
3. 成長実感の可視化
生徒自身が自らの成長を実感できることが重要です。ルーブリックを活用した段階的な評価や、ポートフォリオの作成を通じて、成長の過程を目に見える形で示していきます。
具体的な評価ツール
ルーブリック評価表
探究のプロセスを段階的に評価するための指標です。たとえば課題設定では、社会的意義や実現可能性、具体性などの観点から評価します。重要なのは、評価基準を事前に生徒と共有し、目指すべき方向性を明確にすることです。
ポートフォリオ評価
活動記録、成果物、振り返りシートなどを体系的に蓄積します。単なる記録の集積ではなく、それぞれの資料が生徒の成長とどのように結びついているかを示すことが重要です。
相互評価と振り返り
グループ活動での貢献度や、個人の気づき・学びを定期的に振り返ります。他者からの評価と自己評価を照らし合わせることで、新たな課題や改善点が見えてきます。
評価における注意点
数値化できない要素も適切に評価すること、生徒の多様性を認める評価基準を設定すること、そして何より、評価が次の学びにつながることが重要です。評価は教育活動の終着点ではなく、新たな学びのスタートとして機能させることが大切です。
評価基準は固定的なものではなく、生徒の実態や探究活動の進展に応じて柔軟に見直していく必要があります。また、定期的なフィードバックを通じて、生徒が自身の立ち位置や次の課題を把握できるようにすることも重要です。
このような多角的な評価システムを構築することで、探究学習はより深い学びへと発展していきます。
探究学習を成功に導く7つのポイント
探究学習の成否は、その実践プロセスにかかっています。これまで多くの学校で実践されてきた探究学習の事例から、成功のための重要なポイントが見えてきました。ここでは、特に重要な7つのポイントを詳しく解説します。
これらのポイントは、必ずしもすべてを一度に実現する必要はありません。むしろ、各学校の状況や生徒の実態に応じて、段階的に導入していくことが望ましいでしょう。大切なのは、探究学習の本質を理解し、その実現に向けて着実に歩みを進めていくことです。
1. 生徒の主体性を最大限に引き出す
探究学習の原動力は、生徒の「やってみたい」という気持ちです。テーマ設定から活動プロセスまで、できる限り生徒の意思を尊重することが重要です。失敗を恐れずにチャレンジできる環境をつくることで、予想以上の展開が生まれることも少なくありません。
2. 適切な「問い」の設定
探究の質を高めるためには、適切な「問い」の設定が不可欠です。単純なYes/Noでは答えられない問い、インターネットだけでは解決できない問い、そして実社会との接点を持つ問いを設定することで、探究は深まっていきます。
3. 実社会とのつながりを重視
机上の空論で終わらせないために、実社会との接点を意識的につくることが重要です。地域の企業や団体との連携、専門家へのインタビュー、フィールドワークなど、リアルな社会との関わりが探究を豊かにします。
4. 段階的な目標設定
大きな目標は、達成可能な小さな目標に分割することが効果的です。月単位での具体的な目標設定や中間発表会の実施など、小さな成功体験を積み重ねることで、モチベーションを維持することができます。
5. 効果的な振り返りの実施
定期的な振り返りにより、学びは深化します。活動記録の作成やグループディスカッション、ポートフォリオの活用など、さまざまな方法で振り返りの機会を設けることが大切です。振り返りを通じて、次の課題が見えてくることも多々あります。
6. 外部リソースの活用
学校内の資源だけでなく、外部のリソースを積極的に活用することで、探究の幅が広がります。オンライン会議システムを活用した専門家との対話や、地域の施設・設備の利用など、学校の外にある知見や経験を取り入れることが有効です。
7. 適切な教員の関わり方
教員は、答えを与える存在ではなく、生徒の探究をサポートする伴走者となることが重要です。適切な問いかけによって生徒の思考を促し、必要なリソースへの橋渡しを行い、時には見守るだけに徹することも必要です。
これら7つのポイントは、相互に関連し合いながら効果的な探究学習を支えています。すべてを一度に完璧に実現する必要はありません。各学校の状況に応じて、できるところから段階的に取り入れていくことが、持続可能な探究学習につながります。
探究学習のよくある質問と解決策
Q1:テーマが見つからない生徒への対応は?
生徒がテーマを見つけられない場合、焦って与えてしまうのは逆効果です。まずは生徒の日常生活の中から「気になること」を丁寧に拾い上げていきましょう。新聞やニュースから社会課題を見つけ、それを自分の生活と結びつける練習も効果的です。
特に重要なのは、生徒が自分ごととして課題を捉えられるようになるまでの伴走です。地域の課題を探す中で、自分の興味や関心との接点を見つけられるよう、粘り強くサポートしていきましょう。
Q2:モチベーションが続かない場合は?
長期的な探究活動では、モチベーションの維持が大きな課題となります。そこで重要なのが、小さな成功体験の積み重ねです。大きな目標を適切な大きさに分割し、一つひとつ達成感を味わえるようにすることで、継続的な活動が可能になります。
また、中間発表会での他者からのフィードバックや、外部の方との関わりを通じて、自分の活動の社会的意義を実感できる機会を意識的に設けることも効果的です。
Q3:評価の公平性をどう担保していますか?
探究学習の評価は、従来の点数評価とは異なるアプローチが必要です。明確なルーブリックを設定し、複数の教員で評価を行うことで、ある程度の客観性は担保できます。さらに、外部の専門家や地域の方々からの評価を加えることで、多角的な評価が可能になります。
ただし、完璧な公平性を求めすぎるあまり、探究の本質が損なわれないよう注意が必要です。生徒の多様な取り組みや成長を認める余地を残しておくことも大切です。
Q4:教員の負担が大きすぎる場合はどうしますか?
探究学習の導入により、教員の負担が増えることは避けられません。しかし、いくつかの工夫で負担を適切な範囲に抑えることは可能です。
まず、外部リソースを積極的に活用することです。地域の専門家や企業との連携、オンラインでの情報収集など、学校外の資源を上手く活用します。また、ICTツールを効果的に使うことで、記録や情報共有の効率化も図れます。
最も重要なのは、生徒の自主性を引き出す仕組みづくりです。教員が「お膳立て」をしすぎず、生徒が自ら動ける環境を整えることで、結果的に教員の負担も軽減されていきます。
Q5:オンラインでの探究活動をどう進めていますか?
コロナ禍を経て、オンラインでの探究活動の可能性が広がっています。オンラインでのフィールドワークやインタビュー、デジタルツールを活用した協働作業など, 新しい形の探究が可能になってきました。
重要なのは、オンラインならではの利点を活かすことです。地理的な制約を超えた専門家との対話や、デジタルポートフォリオによる効率的な記録の蓄積など、対面では難しかった活動も実現できます。ただし、オンラインの特性を理解し、適切なサポート体制を整えることが必要です。
まとめ:探究学習が育む「未来を創る力」
探究学習は、単なる学習方法の一つではありません。それは、変化の激しい時代を生き抜くための思考法と実践力を育む場です。
教室での学びが、実社会での価値創造につながる。そんな新しい教育の形として、探究学習の可能性は今後さらに広がっていくでしょう。
未来の教育において、探究学習はますます中心的な役割を果たすことになります。その実践にあたっては、本記事で紹介した様々な視点やツールを活用しながら、各学校の実情に合わせた独自の探究学習を展開していくことが重要です。
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